西都原古墳群
秀の秋

 四月の終りの西都の原は
 空の青と雲の白 
 陽光に映えた一面の緑の間に間には
 ミツバツツジの赤が美しい

 ゆらゆらと若草の間を歩くと
 目の前に左に右に草をまとった程々の墳丘が現れてくる
 上から見ると前方後円墳なのか
 まるで仰向けに寝ているようだ・・・

 そうなのか、人の形なのか  千数百年の間
 これらの祖先(おや)たちはそのまた祖先(おや)たち
 あるいは同胞・家族とこうして同じ台地に仰向けに寝て
 一緒に星々を仰いできたのか

 身体は草木で覆われ、だんだんと風化していくにせよ
 こうして 巡り続ける天空の星々を仰ぎながら
 その果てまで共に朽ちていけるというのは
 すばらしいことではないか

 幸せなる祖先(おや)たちよ
 今の世は幸せな死に時、死に場所など得られずに
 おおかたは苦しみあるいは呆け
 彷徨っているのですよ
 


自由詩 西都原古墳群 Copyright 秀の秋 2015-04-21 09:12:09
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