別れの曲
黒木アン

再会という
残酷な喜びを
与えられた大人は
菜の花に囲まれた
少女になりたいと願う


胸の絡まりと
夢しかなかった
沈丁花の薫り漂う
あの頃からの染みを
どうして
抜き清めることなど
できようか

ワタシはこれから
どれくらいの嘘を
ついていくのだろう

初恋が
最後の恋になる日
貞操な憧れが
貞淑な愛となり
交わせない愛を
ひとつ見送る
春うらら
嘘が華やかに
散っていく

ワタシは時折
ひとの欲深さに
この目を
潰したくなるのです


自由詩 別れの曲 Copyright 黒木アン 2015-04-07 07:10:22
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