満月
Lucy

  

おとうさん
あとどのくらい
私は生きるのでしょうか
あなたの
居ない世界に

あなたのことなど
ほとんど忘れて
生きてきた年月

これ以上なにが
見えてくるのか
知りたくもないことばかり
憶えて

あの日
緑の稲をそよがせ
やわらかな風が
吹いていた
山の上に
大きな月がのぼった
蛙の鳴き声がして
世界は
それですべてだった

おとうさーんと呼ぶと
遠くで手を振る
父がいた



自由詩 満月 Copyright Lucy 2015-04-05 00:18:43
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