長靴をはいて猫
やまうちあつし

雨上がりだから
道がぬかるんでいるだろう
長靴を履いて外に出た
商店街を歩いていると
なんだかクスクス
視線が痛い
美容室のガラスに映してみると
長靴をはいた猫
これは一体
どういうことにゃ
とりみだすわたくし
とりあえず
にゃーでも飲んで落ち着こうと
喫茶店に入るけれども
どうしても
またたびを注文してしまう
ございません、と
ニタニタ笑う店員を
バカにするにゃ、と殴りつけるも
ぽん、と肉球が頬を打つだけ
帰宅して相談しようと走り出す
家に着くなり長靴を脱ぎ捨てて
ピアにしも着地する
「あら、タマ。おかえり」と妻
ニャにおう、と
その膝の上へ


自由詩 長靴をはいて猫 Copyright やまうちあつし 2015-04-01 17:23:55
notebook Home 戻る