黄泉のジャズマンとの対話
服部 剛

老舗のジャズ喫茶・ちぐさのドアを開いて
店内の古びた椅子に腰を下ろし、生麦酒を
一杯―― がさっ…! 発泡スチロールの板
に貼りついた Count・Basie のモノクロ
ーム写真が腹の上に、落下した…

八の字眉毛で店員の姉さんに写真を手渡し
リクエスト。 「カウント・ベーシー」

    *

レコードプレーヤーの上に立て掛けられた
ジャケットは 「For The First Time」
Count・Basieの黒い指は、鍵盤の上を踊り
始める…

――初めての○○〜さてあなたにとっての 
初めて は何でしょう?…それはもしや…
愛の序章…はたまたそれは…物語の幕開け 

あぁ…、この二度と無い Life はいと
美しい、ひとつの夢である――次の瞬間、
僕は鞄の中から本を取り出し、旅人Jack・
Kerouacの「パリの悟り」を――開いた。  







自由詩 黄泉のジャズマンとの対話 Copyright 服部 剛 2015-03-24 23:58:11
notebook Home 戻る  過去 未来