空虚の虜
這 いずる

乾いた声をしぼりだした
がらんどうな私だから
笑い声が響いて痛くて
お願いテレビを消してと頼んだのに
光る画面はついたまま
抱きしめられて身動きができない

楽しそうに笑い楽しそうにみんな会話してる
これは全て選ばれた場面で承認の塊だ
ああなんて苦しいのだろう
私は選ばれないで
私は楽しくなくて
私はここで眺めている

苦しいと身じろいだ
もうちょっと、と引き寄せられた
画面は光っている


自由詩 空虚の虜 Copyright 這 いずる 2015-03-21 11:20:33
notebook Home