漂って夢の淵へ
yo-yo

短編小説を読む
短いストーリーは小さなトリップである
こころよい疲れがのこる
散歩で拾ってきた落葉をページにはさみ
椅子にすわったまま目をつむる
眠るつもりはないが眠ってしまうかもしれない
だんだん体が軽くなっていく
小さな舟にのっている
水の上を漂っている
落葉を
拾おうとして
その右手に力が入っている
さらにその先へと
手を伸ばそうとしている
なかなか落葉に手がとどかない
いつのまにか手の先に
幼い子どもがいる
読みかけの本の上に立っている
足元がふらついている
その足がしだいに
本の端の方へと向かっている
ああ落ちる
と叫んでさらに
手を伸ばす
がたんと音がして
いっきに体が岸辺に引きもどされる
床に本が落ちている
離れたところに
栞にした落葉もころがっている
その落葉が
小さな舟にみえる
舟はまだ
夢の淵を漂っている







自由詩 漂って夢の淵へ Copyright yo-yo 2015-03-18 07:43:42
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