春、濁り
北井戸 あや子

窓の結露を拭き取れば
むこうには霧がたって
ふくらみだした蕾の群れ
まばらにかたまって
微睡みの中のようにぼんやりとある

春は病み、桜は病気を体現する

まだ冷たさを保っている
寒さは宙へ投げ出された身体のように
壊れる事を知っている


自由詩 春、濁り Copyright 北井戸 あや子 2015-03-15 21:09:12
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