クローバー
月形半分子



春の野が眩しい訳をおしえてあげようと

詩人がわたしを野に手招く5月

青い空 白い風 豊かな瞳のような草花

春を思うがまま口ずさむわたしに、詩人はウインクひとつくれて、一人のご婦人に目線をおくる

その白髪のご婦人は花冠を美しく編むのに、少女の頃のままに夢中

あちらは、幼子に木登りを教えている初老の紳士。まるでがき大将のように得意げな顔をして

みんな春の子供になって遊んでいる

うさぎのように、ふかふかの若葉のうえで、素足になって


こんな不思議な時計仕掛けのある春の野で

キラキラと子供らと遊ぶ詩人の名はクローバー

どんな時も、転んだ子がいちばん先に
見つけます




自由詩 クローバー Copyright 月形半分子 2015-03-10 03:16:20
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