冷えていく鉄/即興ゴルコンダ(仮)投稿.17
こうだたけみ

カンカン照りの夏の日に
黒いペンキが捲れてた
露出した鉄の赤錆を
ぼんやり見つめる
ころがり落ちた
階段の下から
目覚ましが
遠く鳴る
リリリ
リン


すでに
取り返しが
つかないほどに
完璧な寝坊をした朝
一つ飛ばしで駆け上がる
プラットフォームまでの階段
血糖値の急降下
遠くなる
意識
口に押し込むチョコレート
ドアに押し込んだカラダ
深呼吸をくりかえして
吸って吐いて吸って
吐いた息で曇る窓
三月、春が来る

三つになる前の
初めての記憶
黒い階段に
置いた掌
温かい
鉄の


自由詩 冷えていく鉄/即興ゴルコンダ(仮)投稿.17 Copyright こうだたけみ 2015-03-01 22:26:27
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