仕事
葉leaf




私は仕事をしている。仕事場は道路の真ん中であり、仕事をしているとすぐにクラクションが鳴り車が渋滞し警察がやって来るので、しょっちゅう仕事場を変えなければならない。私は仕事をしている。仕事着は夏でも冬でもパジャマ一丁なので、朝起きてから着替える必要もないし、仕事が終わってから着替える必要もない。私は仕事をしている。労働時間は日の出から日の入りまでであり、太陽のバイオリズムがそのまま私のバイオリズムなので、いつでも太陽と親友でいるような気になる。私は仕事をしている。雨の日は雨に濡れ、雪の日は雪に埋もれるので、もはやどんな天気予報よりも正確に天気を予測できるようになった。私は仕事をしている。給料は宝石で支払われ、余りにも高価すぎるため買い手が見つからず、私の部屋には世にも美しい宝石がたくさん並んでいる。私は仕事をしている。休日には旅行に出かけ、行く先々の道路で休日出勤の同業者と出会い、会ったこともない社長の悪口で三時間は盛り上がる。私は仕事をしている。仕事で毎日体のどこかはけがをして、そのけがからとんでもない憂鬱が入り込んでくるが、それは社員全員に支給されている徽章を五分間凝視することですぐに忠誠心に成り変わる。私は仕事をしている。もはや日本中の道路を踏破したので、趣味で地図を書き、国土地理院に地図を提供している。私は仕事をしている。社員は全国にきっかり百人いなければならず、しかも社員に交替は利かないので、社員は絶対病気になれないし絶対死ねない体になっている。私は仕事をしている。仕事の内容については誰も理解していないし、仕事の方法についても誰も理解していないし、仕事のスキルも誰も身につけてはいない。それでも私は仕事をしている。


自由詩 仕事 Copyright 葉leaf 2015-02-14 17:42:00
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