暮々空
クロヱ

錆びた赤空 夜に向かう悲しみ
あたしの通る道は ブリキの硬い道
薄桃のリボンをつけた猫が先導する

「どこまで行けば 巡り会える?」 

訪ねた声もかき消して 人の波の濁流
もう ここにはいない どこにも
それでも穂波をかき分け 欲しいものがあるから

「誰のためでもない この世界で」

一度だけこちらまで駆けて来て そんなことをチリリンと鳴いた
冬の寒空の下 揺れる 風鈴のような声
あたしに何を植え付けて 何をさせたいの
あなたは 何故・・・

高みから聞こえる 大きな声が恐くて 嫌で
投げて壊してしまった糸電話
若く 幼く 初心な諸刃の剣をかまえた

そんな初恋の 茜色の空



自由詩 暮々空 Copyright クロヱ 2015-02-13 00:50:14
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