みなしごはっち
衣 ミコ


「泣かないで、僕のみなしごはっち」

父に見放された子は
戦いを憎むだろう
愛が足りずに火は燃えず
太刀傷を受け続ける
美しい容は育たない
ばらばらになったそれを
繋ぎ止める為の強い力が欲しいと
不安の焦点が結ばれた地点から始まる
必死の歪んだ終わりの無い戦い

最初のボタンを
掛け間違えさせたんだ
わざと曲げる為に
やったんだ
これは不健全な戦い
人の子が憎むべきものだと
分からせる為に
(幼児の頃から君を教育してた)
知らしめる為に
(数十年かけて歴史をつみ重ねた)
歳月の犠牲になって
死んでいった同胞の為に
平和の為に
そうして人の子はまた戦いを呼ぶから

「泣かないで、私のはっち」

おまえが母の元に戻るとき
きっと美しい新しい景色が見えるでしょう
早くこの胸に抱きたい
私のはっち
みつばちはっち


自由詩 みなしごはっち Copyright 衣 ミコ 2015-02-12 14:38:39
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