道のさき
……とある蛙
空に向かって伸びてる道を
僕は一所懸命歩いていた。
歩いて歩いて歩いて歩いた
いつか空に着くもの
と信じて。
歩いて歩いて歩いて歩いたが
空は全然近よってこない。
そればかりか
空に近づく気配すらなかった。
その道は空に向かうふりをして
微妙な R で人を騙して
峠を越えたらいつの間にか
街に向かって歩かされていた。
しかし、僕はそれでもあきらめず
また、反対側から歩き出したのだ。
空に向かって伸びるている道を
僕は一所懸命歩いてみた。
歩いて歩いて歩いて歩いた
空に着かないことが分かってからも
歩いて歩いて歩いて歩いた。
また、峠までやってきて
歩き疲れて立ち止り
さすがに歩き疲れて立ち止まった。
そのまま地面に倒れたら
僕の上には空があった。
僕の眼の中には空しか映っていなかった。
空に吸い込まれそうな僕は
そのまま空に吸い込まれてしまった。
また、地面に戻るには時間がなかったから
吸い込まれたまま歌を歌い出した。
空にはたくさんの同類がいて
皆口々に自分の歌を歌っている
ばらばらだった歌がそのうち一つの歌になり、
ばらばらだった心がそのうち一つの歌になり
ばらばらだった気分がそのうち一つの歌になり
歌は空に吸い込まれて、
ふさぎ込んでいた僕の気持ちも
歌と一緒に吸い込まれ
僕らはそのまま空になった
雲の浮かんだ空になった。