下書きでおわる
北井戸 あや子
また
死に損なった
農薬の量を
少し怖気づいたせいだろうか
うまく見えない天井を眺める
自室の机の上の遺書はまだあるのかな
誰か読んだのかな
ああでも生きてたら遺書とは言わないか
死なないかぎり
血を滲ませて紡いだ言葉は
その紙は
僕が死ななければ
遺書になれる日は来ない
永遠に、来ない
自由詩
下書きでおわる
Copyright
北井戸 あや子
2015-01-21 01:33:24