耳鳴り
北井戸 あや子

押し付ける事の意味の無さは
君の拒絶が証明してくれるから
遠いところで嘲笑ってください
ふすまを隔て、聞きたくもない
色んなものが割れる音は
眠りの質を下げるから
両手を奪わないイヤホンで
鼓膜のシャッターをガラガラ鳴らす

角膜の雲が剥がれない

レンゲソウの蜜を垂らした
白目にわらわらたかる虫

プレゼントを持ってきたんだ
嘘に似たまっしろな粉砂糖
君にあげるって言うからさ
そしたらちゃんと要らないって言ってね
なんの憐憫も同情も持たず
凶器も使わず動きもせずに
その薄赤い唇だけで、僕を否定してください
僕を無かった事にしてください


自由詩 耳鳴り Copyright 北井戸 あや子 2015-01-12 16:04:44
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