隔たる人
葉leaf




あなたの手に私の手を重ねると
それは既にあなたの手ではない
あなたは電燈のように存在の消燈を繰り返し
さらには鳥たちのように存在の集散を繰り返す
私はあなたを燈らせあなたを集めようとするが
するともはやそれはあなたではない
あなたは私の息の届くところに居るが
あなたと私の距離はどこまでも遠い
幾つもの平衡をさらに平衡させることで
あなたは体も心も仕草もあなたすら知らない場所へ閉じ込めた
あなたは何もかもを開こうとすることで
逆にすべてをあなたすら知らない秘密にしてしまった
私とあなたでは時計の針の動きが異なり
私の生きる時間とあなたの生きる時間は互いにねじれてしまった
あなたはこれから来る人
或いは既に去ってしまった人
私は置手紙をし或いは電報を打つことで
互いにずれてしまった時間軸の間を架橋する
私は既にあなたから大量の気持ちを受け取っている
それを返却するときあなたは決まって不在なのだ
あなたはいつでもあなたではない
私とあなたはもう沸点を超えてしまったから
もはやただの水のように簡単に混じり合えない
私とあなたは水と水蒸気のように
液体と気体との孤独をそれぞれ交わし合いながら
真に交われる臨界点を探し続けるのだ


自由詩 隔たる人 Copyright 葉leaf 2015-01-11 06:33:50
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