隔たる人
葉leaf
あなたの手に私の手を重ねると
それは既にあなたの手ではない
あなたは電燈のように存在の消燈を繰り返し
さらには鳥たちのように存在の集散を繰り返す
私はあなたを燈らせあなたを集めようとするが
するともはやそれはあなたではない
あなたは私の息の届くところに居るが
あなたと私の距離はどこまでも遠い
幾つもの平衡をさらに平衡させることで
あなたは体も心も仕草もあなたすら知らない場所へ閉じ込めた
あなたは何もかもを開こうとすることで
逆にすべてをあなたすら知らない秘密にしてしまった
私とあなたでは時計の針の動きが異なり
私の生きる時間とあなたの生きる時間は互いにねじれてしまった
あなたはこれから来る人
或いは既に去ってしまった人
私は置手紙をし或いは電報を打つことで
互いにずれてしまった時間軸の間を架橋する
私は既にあなたから大量の気持ちを受け取っている
それを返却するときあなたは決まって不在なのだ
あなたはいつでもあなたではない
私とあなたはもう沸点を超えてしまったから
もはやただの水のように簡単に混じり合えない
私とあなたは水と水蒸気のように
液体と気体との孤独をそれぞれ交わし合いながら
真に交われる臨界点を探し続けるのだ