今夜はたこ焼きパーティー
藤鈴呼



久々に平日休みの旦那と スーパー行脚

夕食を 何にするかと 
立ち止まった コーナーは

丁度 値上げで タイムリーな 
粉売り場

それでも たこ焼きを 買わんとす。

蒸しタコが 売り切れで 
生食用だけが パックの中で 

小刻みにされたまま 
小刻みに 震えてる

格安シールを貼られ
今日 お嫁に行けないと 
アタシ 捨てられるんですとばかりに

打ち震える涙が 
底に溜まっているから 

溜飲を下げる思いで 掌に乗せたい 
重い 吸盤

お前は 何処を ほっつき廻って居たのだ

住む場所は 此処だろう 
済むダケで 構わないのか 
澄む瞳 忘れたかと 呟けば

氷の上で カランと転ぶこと 請け合い

鮮魚コーナーで アンモナイト状に
絡まった足を 発見す

よもや これを 招待せんと 
一瞬だけ 迷ったフリをしながら 大爆笑

「これじゃあ 食べ切れぬ」

武士の如き一言を 呟けば 
硝子度の向こうで声がする

粋の良い 販促活動は 
息が長くないと 

財布を開く頻度も 下がりそうだと 
好き勝手な解釈をしながら 
前に進む

前に 進んでいるつもりが 
後ずさりしてしまうような気持ちも 否めぬままに 
ジュージューと音がする

何? 残りの天婦羅粉を使うとな?!
「だって 原材料は 一緒だよ」

普段 中々 熟読せん裏書を 二人で見比べれば 
「うむ 確かに 似通っている ようじゃが?」

クエスチョンマークの向こうに
ソースとマヨを置き去りにして 

青海苔刻む のは 意外と面倒なので 
パック袋で 許して欲しい ところ

何だか 久しぶり過ぎて 
作り方のコツを 忘れていると 呟きながら 
引っくり返す 円みを帯びた 物体は 

若干 スカスカなれど 
この記憶よりは マシで有ろうと
自堕落な 妄想を 抱きつつ 頬張れば 

舌も 喉も 胃までがカアと 熱くなる 
そんなボイスの 黒鳥が 居たなあと

記憶の隅で 呟く声を 払拭し 
次の合戦へと 挑むのだ

はふはふ ふーう
黒ビールが なかなか 旨い

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自由詩 今夜はたこ焼きパーティー Copyright 藤鈴呼 2015-01-05 19:51:04
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