ご縁玉
とよよん

箱に投げ入れられた。
白銅と青銅とに当たったから、鈍い音を立ててしまった。

不時着。箱の向こうに。
お神楽の鈴祓いが聞こえる。

人混みで到底、届いたものではなかった。
僕のランクだと足で踏みつけられてしまうのだな。

 (境内ではたき火に大小の紅葉がぐるり。真っ赤に色づき、
  振る舞われる甘酒にも焼ける頬、舌。生姜の香りにむせている。)

おみくじの代金として、ここへやってきたのよ、私は。
僕は、願掛けの絵馬のお金だったのさ。

煙にぼんやりとしつつ、これまでの旅を振り返る、僕ら。
ここで祓われ、新しいスタートを切るのだ。

できればもう少し、あの子のポケットで。
ぬくもっていたかったのだけれど。


自由詩 ご縁玉 Copyright とよよん 2015-01-03 22:10:17
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