それ以上の何を
南無一


そんなに多くではありませんが
本に囲まれていさえすれば
わたしは幸せでした
読む本がそこにあるというだけで
わたしは穏やかな気分になれました
それ以上の何も望むものはないと
わたしは少し諦めました

ひろげた読みかけの本に
そっと手をおいて
窓の外に 目をうつせば
耀くばかりの空の青さと
そこにうかぶ雲の白さが 胸に沁みます
ああ こんなにも世界は色彩に充ちています
それだけで わたしは少し幸福になりました
それ以上の何を
望むものがあるというのでしょう

それさえも
望みようもない人々への 非力を
憎む以外に



自由詩 それ以上の何を Copyright 南無一 2014-12-16 21:40:15
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