海
葉leaf
この道は海へ続くという
海へ至り海のいちばん深いところで尽きるという
僕は道端において山脈が途切れる村をまなざし
もう後には引き返せないと強く心に刻む
そのとき確かに海はいくつもあった
いくつかの海の浜辺で引き返し
今度は遂にいちばん深いところへと分け入っていくのだ
そこで道と共に果てていくのだ
海のほほえみがきらめく
この世界で一番美しいほほえみのために
世俗の財産をすべて焼き尽くしたのだ
未来を精確に予言しよう
僕が海の一番深いところで果てたのち
海は荒れ狂い浜辺の町をいくつも呑み込む
そのとき失われる命のために
僕は既に無数の命を捨て去ってきた
海へ入ったのちのこの道の途中で
僕は答えのない質問をたくさん浴びる
僕はそれらすべての質問にただ沈黙でもって答えとする
すべて人間の言葉は悪だから
答えという悪を誘導する質問はさらなる悪だから
僕はこの道の分岐点ですべて間違った方向へ向かう
完璧に間違え続けることが海へ至る唯一の方法だから
海は女でもないし愛でも憎しみでもない
僕がやっと本当に死ねる場所
この複雑すぎる肉体から解き放たれ
単純な分子の集まりになり
そしてやがては名付けられぬ無として
宇宙に降り続ける真っ青な雪になるのだ