実り
葉leaf




悪は一つの矛盾した実り
弱くふるえている果肉を守るために
幾重にも重なった硬い果皮

善であることは実ることを拒絶すること
果肉が傷ついても
それに耐え続ける強さがあるということ

悪は弱いから傷つくのに耐えられず
自らの内部の構造を充実させていくために
内部が沢山の光によって攪乱されるのを避けるために
初めから傷つかないように果皮で守り
どんな迫害をも笑い飛ばし蹴り飛ばす

本質的に強い悪
内側に弱い果肉を持たない果皮だけの悪は
本当の悪ではない
それはただ衝突の機能を持つだけの
潤いも内部もない害でしかない

悪として繊細に実っていくか
善として実らず傷つき続けるか
害として空疎であり続けるか

私は悪としてどこまでも内側の構造を熟させながら
善や害とも共に響きあい
社会から降ってくる無数の刃を果皮に摂り込み
果皮と果肉とをどこまでも流動的に交換し続けている
やがて実りが矛盾でなくなる日まで
内側の弱さと外側の強さがもはや同義になる日まで


自由詩 実り Copyright 葉leaf 2014-12-09 07:06:03
notebook Home