いつかみんな死ぬよ/3つの下書き
左屋百色


「皆殺し」

眠れないので改造しておりました
極彩色のペンチで
灰色をたくさんつくったのです
死んでいるみたいな街が
ついに
本当に死ぬ
夜の反対側で
針金みたいな警察官が
ドーナツみたいな手錠で
右と左をくっつけるから
死んでいるのに
この街は夜も明るい
朝までに
皆殺しの予定です
あくまで予定ではありますが。
それではみなさん
お元気で、

「リコピン」

こんにちは、
お元気ですか?
僕は
光速で
情報に轢かれながら
死んでいます。
朝のひかりで
リコピンを摂取しながら
ひとり死んでいます。
線路沿いの花が睨んでいる午後
その殺伐とした美しさで
巨大な妄想を
ちぎれるまで咲かせている
美しいのは認めるから
はやく散れ、
君も
なるべくはやく散って
死んだ方がいいよ
こんにちは、
お元気ですか?
トマトジュースを
半分ください、

「最後の食卓」

首を切られて
鎖骨を砕かれて
電卓で計算されるのです
世界の裏側で殺しているかな
いいえ、
命をいただいているのです
草原で死にたくて死ねなくて
贅沢な風に包まれて
殺してあげたい
電卓で計算できないまま死にたい
いただきます。
ごちそうさまでした。
お互い
もう終わりだね、


自由詩 いつかみんな死ぬよ/3つの下書き Copyright 左屋百色 2014-12-08 21:01:26
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