「先生、美しくなって自信を持ちたいんです
　でも、顔を整形するのは、嫌なんです」
「ご存じの通り、顔の整形というのは
　結果的には心の整形している訳です
　当院では、顔の整形をしなくても
　心の整形をする方法があります
　患者さんが自分で自分を変えていくための
　ブチ整形を指導しています」
　
「ブチって、プチ整形じゃないんですか？」
「はい。まず一週間、鼻の真下にチョビ髭のように
　救急絆創膏を貼って過ごして頂きます」
「そ、それでブチ？　ちょっと恥ずかしいですね」
「大丈夫。意外に、絆創膏の理由を
　聞かない人が多いことを知ります」
「先生、どうしたのって聞かれたら？」
「まぁ、ちょっとと濁してください
　回りがざわついてより効果的です
　そして一週間後に、右頬にも貼ります」
「えぇ？　右頬にも？」
「はい。更に一週間後、左頬にも貼ります
　周りが更にざわつきますが、我慢です」

「そ、そんなぁ不細工、耐えられないかも」
「そうですね。でも、耐えられないほどの
　酷い顔になることが目的ですから」
「えっ、意味がよく解りませんが」
「まぁ、続けましょう
　そして一週間後、鼻の下から順に
　三日間ずつ空けて絆創膏を剥がします
　治ったの？　と聞かれたら
　吹き出物だったと言ってください」

「先生、それでどうなるんですか？」
「一ヶ月間の酷い絆創膏顔から比べれば
　美しくなる訳です」
「まぁ、元に戻るだけでしょうけど」
「いや、元には戻りません
　世界が変わります
　気にしていた部分をプチ整形したような
　カタルシス、つまり心の浄化作用が
　得られる事があります」
「得られる事って
　絶対ではないということですか？」
「はい、プチ整形と同じで
　効果には個人差があります
　中には、心の整形ではなく
　心が変形してしまい
　羞恥心を忘れてしまう人もいますので」