* 夢夫、夜のユメ夫 *
ヨルノテガム





 昼、何もしたくなくて眠くなる寝る
 夜、皆は寝入っているので
 静寂は 何かを創ってみたくさせる
 脳の先、あらゆるイメージとひらめきが遊び回り
 皆の夜の中でポーズをとっている

 影がある






 ヘビの頭がキリンの胴に
 キリンの頭がヘビの胴に
 二つの物体は狂った形相で
 相手を追い越し追い返し
 逃げ惑いながらも駆け回っている





 皮カバンを肩から掛けて
 一日中 森を散策していると
 カバンが腹にくっついて取れなくなり
 いつしか有袋類へと変化していた
 ぴょーんと後ろ足で蹴って跳ね
 ぴょーんと後ろ足で蹴って跳ねる





 雨がふり
 その粒がMAX痛い
 キノコの幽霊が日傘並みに太って
 街をふらつき根付く
 歯ブラシが目覚めたとき
 日常のどの扉ドアを開けても中は
 トイレばかりだった





 タイムマシーンで超速道路を
 流していると 標識には
 『 一旦、正月へ戻る 』
 の迂回図が らせんしている
 信じられないかもしれないが
 ワープのマスコットキャラは
 蝉なのだミーン





 足首から沼へ入り込んでいくは
 暗闇
 口鼻が隠れそう水位が
 上を向いても
 上を向いても
 上を向いても
 上を向いても

 消失する前に9分の一サイズの
 自称(ボク)が口の中から脱皮し生まれ
 また水位が関係を断とうとすると
 再び9分の一サイズの(ボクのボク)は脱皮し生まれ
 息を続ける、
 さらに〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 再度〜〜〜〜〜〜〜〜(ボクのボクのボク)は〜〜〜
 くり返しくり返しで
 溺れることはなかったが
 その記憶は小さくなり過ぎて 無くなる

 つまり、光線である。







 蟻の行列が右手の甲から
 腕肩、首ひとまわりして
 左手の甲へと行脚する

 蟻の隊長によると
 今夜はドビュッシー祭りでございやす と
 耳のそばで解説は流れた

 ばらばらの何百何千もの
 蟻の足音が 徐々に一つの重なりへと
 脈打たれると その細足の存在はなくなり消えて
 ドビュッシーの弾く音符の連なりへと様変わりし
 体中のツボに効いていった





 閉じた目をあけると、南風の朝だった















自由詩 * 夢夫、夜のユメ夫 * Copyright ヨルノテガム 2014-12-03 06:57:20
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