インサイド・インサイド
竜門勇気


誰かと会って話をする
誰にも会わないで話をする
雑貨屋の前で喧嘩をする
寂しいことばかりを伝え合って
どっちが正しいか競う

なんともよ
戦争みたいだね
お互い
こんなことやりたいんじゃないんだ

なんかたのしーね
戦争みたいで
ずっとこうしてたい気もしないでもないよ

今年の初めのことを思い出す
なんか寒かったな
寒くてだれでもいいし
どーでもいいと思ってたんだろうな

今をそこに繋げる
どーでもよさは二月にもいた
六月にもいた
僕は誰かを傷つけるサガを
自覚していた
これがだれにでもある
ありふれた特性だってことも知ってた
どーでもよさは自分にも銃口を向けた
そして躊躇わずに引き金を引いた

だれでもいいって
どこでもいいって
それは自分で何とか出来るんだ
裏切らない他人を探すより
裏切らない自分を作るのが先だぜ

こめかみに開いた穴をみて
僕をゾンビだと気づく奴がいる
そいつらもこめかみに穴が開いてる
君といた春がまた来る
君といた冬にまたいる
ゾンビは昔を思い出さない
ゾンビは去年を知らない

街の中
僕とゾンビが歩くのを
君は見ない

雑貨屋に並ぶはやりの品物が
あの時は想像すらできなかったものだったとしても
ゾンビはこめかみから涙を流して
ただそこに存在することしか出来ない


自由詩 インサイド・インサイド Copyright 竜門勇気 2014-11-25 11:37:34
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