保存上の不注意
A道化




薄曇りから
薄く、射す、朝
射す、薄く、朝
灰汁のような、擦り硝子
カーテンの、微細なファイバーの乱反射も、吃り
秩序が溜まってゆく食卓は
ピルケースのように正しく
グラニュー糖は、冷淡に思えるほど清く


だから、スプーンを、取り落とす
だからわたしは、スプーンを、取り落とし
銀を瑕で濁したスプーンの銀を、取り落とし
結果的に身投げの感覚を掴んだらば
その後、うつ伏せのまま硬直したスプーンの後頭部にいつの間にかこびりつき
そのまま冷暗所にて安置された映像、それは
黴のように無表情を得て黴のように安らかな、それは
あ、わたしじゃないか?



2005.2.1.


自由詩 保存上の不注意 Copyright A道化 2005-02-01 08:36:49
notebook Home 戻る