うさぎうさぎ
北大路京介


「こんにちはうさぎ」

こ、この兎、喋れるんか?

「喋れるうさぎ」

なんで語尾が【うさぎ】なん? ふつう兎の語尾は【ぴょん】やろ?
いやいや、ふつうでも兎は喋らへんけれども

「うさぎが喋ったらおかしいうさぎか?」

おかしい

「メールに疑問符つけて送ってるうさぎなのに、返信が来ないのはどうしてうさぎ?」

しらんがな

「どうして女は 『わたしと仕事、どっちが大事?』って聞いてくるうさぎか?」

しらんがな

「詩を贈られた時にどういうリアクションしたら良いうさぎ?」

しらんがな

「旅行のお土産で貰うキーホルダーの使い道、なんかないうさぎか?」

しらんがな

「しらんがなばかり・・・」

しらんがな

「もー せっかく普通は喋らない兎が喋りかけてるのにぃ。 もっと考えてくれてもいいんじゃないですか?」

語尾に【うさぎ】ついてないやん

「・・・うさぎ。もっと考えてくれてもい良いんじゃないうさぎか?」

動揺してる? ちょっとキャラがブレてるんちゃう?

「キャラって何うさぎ? ブレてなんてないうさぎよ」

ピザって十回言ってみて

「ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ」

(膝を指さして)
ここは?

「ひざ」

くっそー ひっかからなかったか

「そこはピザって言わせておいて、肘を指さして ここは?って訊くんだぴょん! バカだぴょん」

おいっ 語尾が【ぴょん】になってんで

「ぴょんなんて言ってないぴょん。いや、言ってないうさぎ」

最初から【ぴょん】で良かったのに

「ぴょんなんて言う兎は、ただの兎ぴょん。あっ ちがっ ただの兎うさぎ」

うさぎうさぎ ややこしいな
ただの兎はしゃべらへんねん

「ぴょんって言うのは、ただの喋る兎うさぎ」

ただの喋る兎でじゅうぶんやがな
じゃあ、うさぎとかけましてー

「うさぎとかけまして?」

なぞかけやがな
うさぎとかけまして、なになにととく。そのこころは? いうやつや。

「そんなのできないぴょん」

うさぎとかけましてー

「ううう。うさぎとかけましてー ええっと ええっと」

なぞかけも出来ない兎は ただの兎や
うさぎとかけましてー

「うわーん もう月に帰る」

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若い刑事「 ...というメモが現場に残されてました」

ベテラン刑事「 鑑識にまわせ 」


散文(批評随筆小説等) うさぎうさぎ Copyright 北大路京介 2014-11-14 21:10:19
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