蒼イ春 / 9TEEN the Night
虹村 凌
昭和麓拾年に第一詩を叫んだ
涙と共に溢れ出た其れは
母親を始めとする数人の中での
第一詩だった
昭和奈奈拾麓年に童貞詩を読んだ
熱い感情で紡がれた其れは
拾麓年目の人生の中に於いての
青春詩なのだ
”何か変わりそうだ”と言い訳をしながら
眠れない夜を過ごす 張り裂けそうな胸
夜が大好きなのは 屹度
冷たい朝の風の為 だから
煙草と珈琲を呑んで
お陽様を迎えに行くのだ
お陽様を迎えに行くのだ
クツも脱がず オーディオも消し忘れ
半熟の薄明かりの中 深い眠りへと沈んでゆく
誰とも口を聞かない日なんて年中ある事だ
別に大した事じゃないだろう?
つい他人の詩と比べてしまう事が多いけれど
感情のままに紡ぐ事が あの頃の俺には喜びだったのだ
感情のままに詩を書く事が あの頃の俺には喜びだったのだ
何をあんなに震えていたんだろう
反応ばかり気にして 忙しなく煙草を吸っては吐く
誰も俺の言葉を殺せやしないのに!!
それでも確かな手応えが欲しくて
俺は立っている
汚れたツラをして 立っている
だから君達も マンコ(チンコ)ばっか見てないで
自分のセンス磨いて頂戴?
ほら
俺は電話も時計も置いて来たよ
だから真夜中の散歩に出掛けよう
銀色の夜道は何処まで続いているのか
誰も知らないから
だから 行こう
皆が忘れたモノを 取り戻しに行こう
見てみろよ
月と戯れてた雲が 今はもう散っている
道に落ちた俺の影は 濡れてるみたいに光ってる
煙草の煙は風に靡いて
俺たちの行く先を教えて呉れる
外灯の間を縫って歩く俺達に
後戻りなんて無い
頭の中ではヒステリックなギターが聴こえる
ヒステリックな叫びが聞こえる
街を埋め尽くしていた筈の
邪な愛の夢は態を潜め
投げた吸殻が闇を切り裂く
蛍じゃない 希望 が静寂を切り裂く
見てたのか?
クヨクヨしてもビクビクしても仕方無いだろ
停滞は趣味じゃない事はわかってるだろ
誰に笑われたっていいだろ
朽ち果てる事の無い光輝く言葉のひとつくらい
煙草を押しつけて燃やしてしまえよ
俺達の声は 何時までたっても間違っちゃいない
喚いて叫んで 喉が潰れたって
間違っちゃいないんだ
生きられなかった時間や場面、場所
文字に出来なかった言葉
そんなモノを気にしてオロオロしてるんか?
お前が溺れているのは 余計なモノの海でしかない
手を貸してやるから
さっさと上がって先行こうぜ
見えない明日に胸を焦がして
消えない不安を煙草で焦がして
真夜中の道を外灯を辿って歩くんだ
香田は戦場へ行った
俺は何処へ行くんだろうな
真冬の真夜中を握り締めて
お陽様を迎えに行こう
淋しい夜が何度続いてもいい
切ない夜を何度迎えてもいい
拾鳩年は一瞬の夢だったから
今はいいんだ
何時か俺もジジィになるだろう
屹度其れも一瞬の夢だ
今夜何をしよう
今夜定説をブチのめそう
ジョージ・ブッシュみたいになって
ビンラディンみないになって
定説ってヤツをブチのめそうじゃないか
やりたいようにやらせてもらおう
冗談みないな真夜中だからさ
やりたいようにやっちまおう
聖者になんて成れないからさ
生きて歌ってたいからさ
俺は何時だってクソったれているが
俺は何時だって考えている
見た事も無い様なシャープペンの握り方で
聞いた事も無い様な歌い方をしたいんだよ
今は未だ煙草を持って立っているだけだけれど
汚れたツラで立ってるだけだけど
大人達に手放しでホメられるような詩なんて書きたくない
誰もがポケットの中に隠し持っている
アイスピックより鋭い言葉で 何時か喧嘩をしようぜ
自分で自分を受け入れられないっつったって
そんなんじゃ何処行ったって同じだ
アメリカ行ったって変わらない事くらいわかってんだろ?
頭ん中で限界値設定して カタにハマってほっとしてんだろ?
何時かアタマ爆発しても知らねーよ?
それよりも行こうぜ
夜を歩こうぜ
ねぇ どうしたらイカした野郎になれる?
言いたい事を言葉に出来ずに
苛々する事なんて今は無いよ
ほら 街角曲がれば
他人の足下掬う事に命かけてる奴等がいる
「ママ!見て見て!馬鹿がいるよ!」
何遍でもいいから 笑い返してやろうじゃん?
生きるって事は下らない事だろうよ
死んじまうって事は 格好悪い事かもな
それでも俺は生かされてるんじゃない
当然な事だろうよ
絶望なんてありゃしねぇ
真冬の夜中を握り締めた
握り締めた其の手を開いてみろよ
ほら もう直ぐ夜が明ける
だから
お陽様を迎えに行こう
お陽様を 迎えに行こう
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