反転、闇
はなもとあお

反転、闇



いたみに
全身を浸すように
すべてを無にして
荒廃の中
呆然と立ち尽くしたい

過去の傷がわたしを呼ぶ

きぼう
きぼう
きぼう
眩しさにまみれて
築き上げた礎
叩き割れば
悪意や嫉妬からの言葉吐く人達の
喝采を浴びる

お前の努力なんて
孕む狂気の前には
無力なんだと
満面の笑みで
欲をすて
悟りをひらいたような
なにもなさを
歓迎するだろう
死と隣り合わせで

闇が呼ぶ
お前に幸せなんて似合わない、と
成功なんて
自信なんて
お前には不似合いだと
過去の空白が呼ぶ

不幸に浸っていれば
たたかうこともない
きそうこともない
……なんてことは、
実はなくて

底は底で
暗闇を競うもの

人間って

共に歩むなら
時には
傷もみてくれないと
あまりの明るさで
立ち位置
見失ってしまうから

お願い
反転、闇に落ちたら
無言
闇の中で
共に佇んで
そうして
夜があけて
光さしこむまで
待っていて欲しいの

再び
現実と
向き合うために





自由詩 反転、闇 Copyright はなもとあお 2014-10-19 13:32:57
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