昨日のことはよくわからないけど
オイタル
昨日のことはよくわからないけど
明日のことなら思い出せそうな
シャンプーみたいな朝です
高校生は修行者のように林間に列をなし
小さな耳に枯れ下がるイヤフォーンと
丸い掌に膨れ上がるケイタイ
ビル風に吹かれる立木のような人々をかき分け
かき分け
プラットフォームに
日差しが四角くまぶしく落ちて
何もない朝です
からすが
そこの 低いところを歩いていたり
車窓にときおり
こんなふうに スズメの姿が流れてきたり
膝の上に今日の
諦念を丸く居眠りさせて
でも
さてこれからどうしようかという
きれいに何もない朝です