苺
あおい満月
鼻から鼻血が止まらないの
誰かが牛乳を飲みながら叫んでいる
牛乳は血と混じりあって
苺ジュースになる
甘いあまい苺ジュース
甘いにがい苺ジュース
あなたの体液を混ぜてほしい
滴るくちびるから
琥珀がもれる
琥珀のなかの指が
目を開いたまま
こちらをみている
指の目
その開いた瞳孔の
果てしない向こう側に続く線路
こわばる心臓を
撫でながら進むメトロ
明かりがみえる
ホームについた
もうここで、
漸く旅が終りだ。
ホームのベンチに
少女が座っている
少女は鼻血を滴ながら牛乳を啜っている
パックの牛乳が赤く染まって
苺ジュースになる
少女が大好きな
苺ジュースに。