東方見聞録
やまうちあつし

水の都を出発したのは
十五の頃
父と叔父に連れられて
大量の宝石を買い込み
船に乗り込んだ
タルタル人の庇護のもと
海峡を渡る蝶を見ながら
砂漠を越えた
王は大いに感心する
髭を撫でながら
百人の賢者を迎えるように
異国の旅人を歓待し
ご満悦の体
両隣には盲目の美女
寝室には
あらゆる異教の
神々の像
王は遠い目をして
通達をする
おぬしらは祖国へ帰れ
聖なる油と
どこまでも行ける手形を授け
また
髭を撫でた


自由詩 東方見聞録 Copyright やまうちあつし 2014-10-08 12:40:06
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