君に覚せい剤を打ちたい
テラザキ マサシ

君に覚せい剤を打ちたい
世界が一番静かになった瞬間を見せてあげたい

君に覚せい剤を打ちたい
西日のさす部屋で
カーテンのかげで
100円ライターに火を灯して
震える指でまぶたをおさえて
夢の中で
記憶喪失になって

君に覚せい剤を打ちたい
君のことが好きでどうしようもないから
どんなに言葉にしてもうまくいえないから
どうやってこの気持ちを伝えればいいのか
本当にわからないから
君に覚せい剤を打ちたい

世界中にある夜景が見えるレストランが全部消えてしまえば良いのに
そうすれば
きっとみんなロマンチックについてもう一度考え直すよ
自分の頭で
そうして
いったい何を失えば
本当の幸せについて考え始めるんだろう

君の髪に木漏れ日がふれてほどける
君が世界をそっと揺らす
あふれそうな海の水が
音もなくこぼれる
僕の左目はぬれる

君に覚せい剤を打ちたい
君は知らなくてもいいことを何も知らない
君にあげられるもの
僕は何一つ持ってないような
そんな気がして
どうしたらいいのか
わからないから
君に覚せい剤を打ちたい
どんな宝石よりもきれいな光を君にみせたい
君に覚せい剤を打ちたい


自由詩 君に覚せい剤を打ちたい Copyright テラザキ マサシ 2014-10-07 01:03:16
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