融鉄
凍月




寝ても覚めても
 迸る感情
君の事を想いつつ
朝日が昇る
まだ形状の定まらない
 流体の太陽

金床に流し込み
躊躇の槌で打ちつける
超高温の金属は
赫灼と輝き
理性の鋼も喰らい、熔かす
君に捧げる花束が
線香花火のように駆け巡り
煤けた空間に軌跡を遺す

僕の拭いきれない汗が
落ちて蒸発する
僕は必死で、煮えたぎる金属を叩く
不安の銅も
純情の銀も
情熱の金も
全部混ぜて撹拌した

最後に残ったのは融けた鉄
純粋な鉄
金と同等の光沢を放つ

1000℃超の
「君が好き」
を融かして固めた金属





自由詩 融鉄 Copyright 凍月 2014-10-04 21:25:11
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