算盤
藤鈴呼



パチ、パチ、パチ
誰かに 褒められる事も無く
育った

パチ、パチ、パチ
数珠に似ているアレを
弾く

拍手喝采の 夢を描きながら
計算を 重ねた

数字には 強く 成ったけれど
計算高くは 慣れず

ダイヤカットの 指輪よりも
ソロバンカットの 数珠で 遊ぶ

スワロフスキーなんて名前
知らなかった

スワロスキーって 書いたら
板が 横に なりそうだった

スワロフキーって 呼んだら
春の 新芽に 和えそうだった

会えたのは キラキラビーズ
もう一度 暗算をする

安産の 代わりに
何度も 境内を
グル、グル、グル

誰と 誰が グルだったのか
今も 分からない

パチ、パチ、パチ
永遠に 続く音が
憎らしい けれど

ねえ、わたし、
あの、じゅずみたいな、なにかを
はじく、かわりに

裏返して ボード代わりに
板間で遊んでいた方が
倖せだった


自由詩 算盤 Copyright 藤鈴呼 2014-09-28 23:15:09
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