女子校の思い出、
左屋百色

君の肩幅は私が描く世界の幅、
小さな世界の思い出、
小さな言葉で綴る午後。
前髪より軽い言葉のられつ、
女の子が好きな女の子が描く
スカートの柄。
チョークの粉が、まぶしいなんて、
全部、うそ、です。
黒板に学校からコンビニまでの地図、
誰も道に迷わないように、ね。
切りすぎた前髪が
唇まで、やたら、遠い、十代。
透けて見える下着、私の放課後。
流行のキーホルダーはもう古いから
100年後の流行を探す、みんな。
本当は、みんな、
何を探していたのかな。
(わかんない(今だって(そうだよ、
コンドームみたいに
芸術が次々と消費される平日に
君は週末の夢を描く。
女の子が好きな女の子が描く
それとは、
まるで違う夢だね、
明日も明後日も学校だね、
女の子が好きな女の子がいては
いけないのかな、
ロボットみたい、みんな。
性別なんて、
(なくなって(ほしい(ほしくない、
国、数、理、社、現代詩、
授業が終わったら
夕立ちの中、君の肩に雨、
世界が濡れる。
奏でる雨風、コンビニで傘を買おう
教室は噂で視界がぼやけるよ、
黒板の字が見えないから
道に迷うよ、
詩なんて誰も読んでなかったよ、
(ダサいって(暗いって(そうだね、
本当は好きだったのに
本当に好きな事は誰にも言えなかった。
友達の気持ちがわかんない、
現代詩の方が、よほどわかるよ、
(わかるよ(わかんない(わかるよ
でも、あの日から、現代、詩の、
意味なんて全部わかってやらない。
今だって、全部なんて、絶対に、
わかってやらないよ。
思い出が
ざらざらしても
胸に集めて
それ以外は
すべて失ない
いけるとこまで、



自由詩 女子校の思い出、 Copyright 左屋百色 2014-09-25 13:41:30
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