夏の記憶
佐藤承夕



どしゃぶりの雨の中
ガタがきた車の中
壊れたワイパーに途方に暮れて
となりのあなたと虹を待つ

蝉時雨のなきごえに
あなたの涙が隠された
湿った言葉じゃ拭えなくて
そっと震える手を握る

クーラーは消してしまった
ウィンドウも閉めきった
ただただこの手のぬくもりだけが
雨の下では必要だった

ジウジウと夏が叫んでる
喧騒が二人の静寂の
秋を見据える二人にとっての
優しい恵みの雨であれ



自由詩 夏の記憶 Copyright 佐藤承夕 2014-09-17 04:44:06
notebook Home 戻る