てんとう虫
千波 一也


ほんの
小指のつめほどの
ささやかな背に
滑らかに乗る
勤労の
まる

悠長に
せわしげに
その身に負わされた太陽の名を
あちらこちらへ
振りまいて
唐突に
発つ

自分勝手な一部始終に
自分勝手に癒される
たまたまの午後

わずか
数秒でも
ほほ笑めたなら
かの虫はそう
確かな


欠落に射す
けなげな御守り









自由詩 てんとう虫 Copyright 千波 一也 2014-09-16 20:43:26
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