降ってくる
opus

ジリジリと晴れた日
セミの声に満たされ
ぷかぷかと白い雲が
浮かんでいた日
隕石が突然空から降ってきた

閃光を放ちながら
猛スピードで
空から降ってきた隕石は
地面に落ちるやいなや
半径10kmを吹き飛ばした

降りたった地は
山形県蔵王連峰
一瞬のうちに周囲は更地となった

隕石はその場で
赤々と光を放った
その時、
日本列島を
震度8の地震が襲った
一見ソレは
その隕石の余波だと思われた
しかし、
震度8を記録したのは
隕石が降りたってから
5時間後であり
震源地は
琵琶湖だった

地震と共に
琵琶湖の水は
まるで津波のように
周囲を飲み込んだ
琵琶湖の大半の水は失われ
周囲は
荒地と化した
そして、
その中心には
まるで首長竜のような体格をした
全身を灰白色の鉱物で覆われた
生き物が聳え立っていた

隕石が降りたって
10時間後
(琵琶湖が消滅して5時間後)
赤々と光続けたソレは
段々と光を弱め
黒々とした
丸い塊となった
そして、
バリバリと周囲に不協和音を
発しながら
大きな翼のようなものが現れた
すると、
中から8つの赤い光が見えたかと思うと同時に
黒い破片を撒き散らしながら
飛翔した
その姿はまるで
羽の生えた蜘蛛のようだった

琵琶湖の首長竜は周囲を
破壊しながら
歩みを始めた
その足は山を
河を
街を
軽々と踏み潰していった

人々は
悲鳴をあげ
泣き叫び
祈りを捧げた
何に?
もちろん、神にだ

隕石の蜘蛛は
ものすごい勢いで
一直線に
飛翔を続けた
その通り道には
コンクリートも
木々も
車も吹き飛び
土だけが剥き出しになった

そして、
首長竜は進撃を進め
現れてから3時間後、
東京へ辿り着いた
首長竜はその間、
人類の武力に
ビクともしなかった
立ち並ぶ高層ビルを破壊し
国会議事堂、
そして、皇居を蹂躙した所で
大きな爆発が起こり
東京中は火に包まれた
首長竜はそこで
まるで雷鳴のような
叫び声を響き渡らせた

瞬間、
首長竜の首から上が吹き飛んだ
火をかいくぐり、
隕石の蜘蛛が現れ
その首をもぎり取った
隕石の蜘蛛は
そのまま東京タワーへ
降り立つと
その首をムシャムシャと食べ始めた

人々は歓声をあげた
神の使いが現れたのだと、
神は自分達を見捨ててなどいなかったのだと

そして、
隕石の蜘蛛は
肉を平らげ、
骨だけになった首を
地面に落とすと
ガードレールに車体が擦れるような
鳴き声をあげ
1人
1人
生き残った人々を
捕らえ始めた






自由詩 降ってくる Copyright opus 2014-09-05 23:30:58
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