全手動一行物語(91〜100)
クローバー


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腕が無いから世界で一番美しいなんて言い方ちょっと失礼じゃないかしら、と3m上から彼女が。

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眠いと言ってここを去ったのに朝を連れてくる君は太陽。

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空の青さが際立ったのは君が紅葉したから。

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財布をひっくり返して落ちてきたのは金運○の大吉だけか。

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去年よりずっと綺麗になった、と彦星が歌っていたよ。

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ごめんと謝りながら台風の後の夕焼けを綺麗と思ってしまうところが男の偽善者たる所以。

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星は確かにいただいておりますが、とウェイターは困り顔で故郷を失った宇宙人をなだめた。

98
そのロボットは自分の故障原因を突き止めるとパイロットの遺体に向かい修理方法を一通り説明して、あとよろしく、と電源を落とした。

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死を抱えながら尻を追いかけ葬列は巣穴へ帰る。

100
夢を見るとかくれんぼ見つけたの声に振り返りたい。


自由詩 全手動一行物語(91〜100) Copyright クローバー 2014-08-28 22:21:36
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