白桃
あおい満月

朝露にぬれた白桃を
吸血鬼が狙っている
吸血鬼は黒く、
爪の先ほどの大きさしかなく
細長い観葉植物のなかで暮らしている
白桃には、
ちいさな熱があって
風をあおいだり、
髪をすいたりしている
微かにゆれる黄金色の草原は
陽を浴びながら
目を閉じたり開いたりしている

なにかの気配がする
ささやきでしかない
あうんの呼吸が
硝子越しの果物なかの
自分には寂しい
吸血鬼を指で潰す。
雌の腹から流れる血はどこの誰のものなのか

えたいの知れない
ものを飲むと、
自分がわからなくなる。
分裂する意識
祈りの糸で繕う。
この耳をすり減らすものは
この目を増殖させるもの。

地球上に一匹しかいない
うさぎをつれてきたよ。
ふわふわの綿毛
きみにあげる。

(いらんわ、んなもん)

うさぎを口に入れたらとけたらしい。
綿飴だった。
また、吸血鬼が
明日もやって来るだろう。


自由詩 白桃 Copyright あおい満月 2014-08-26 22:27:19
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