ぼくらが旅にでない理由
あ。

コップ一杯の麦茶に昨日見た夢を溶かして
ぐいとひといきに飲み干す
季節は夏、あくまで夏だった

例えるなら、ここは砂漠
らくだの背中にまたがってゆらり、と
色あせたリュックに刺さる白旗 
ぼくらはいつだって負けている
嗚呼、月がとてもきれいだ

ぬるい空気にまぶたが持ち上がる
寝汗を吸い込んだシャツを洗濯機に放り投げ
気だるげなコップに麦茶を注ぐ
ふ、と外に目をやれば洗いざらしのタオルが
白旗みたいに揺れていた

だからぼくらは
旅にでない、きっと


自由詩 ぼくらが旅にでない理由 Copyright あ。 2014-08-24 14:31:26
notebook Home