アキアカネ
Lucy

心細さを擽る風が
お腹の底を吹いたかと思うと
今朝からは

おびただしい数の赤い蜻蛉が
突然現れたにしては
脅威的な確率の高さで
ペアを組み
次々に風を横ぎっていく
二匹ずつきちんと縦につながって

揃って羽化したのだろうか
月の明るい夜だった

一斉に流れていくように見えて
実は全員風上に向かっている

小花模様の日傘をさして
夏のサンダルをはき
ひとり取り残された私は
ぬけるような青空の向こうに
茜色した二文字熟語を
見失ったまま







自由詩 アキアカネ Copyright Lucy 2014-08-18 15:36:19
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