時よ
吉岡ペペロ

蝉がちりちりと鳴いている

曇天に夕方の縞模様ができている

ヘリの音がする

電線がうごかない

縞模様もうごかない

ヘリの音が遠ざかる

遠ざかれば遠ざかるほど

それはヘリらしい音になる

鳴きやむ蝉がいれば鳴きだす蝉がいる

だらんと世界は歳をかさねてゆく

執拗にがまん強く

なんにも変わらないふりをして

時よ、おまえの威力は甚大だ

水どころの話じゃない

積水どころの話じゃない

宮本武蔵どころの話じゃない

時よ、おまえには逆らえない

小船にのって流されるしかないのだよ


水の出口が海ならば

時よ、おまえの出口はどこなのだろう

海の着地が陸ならば

時よ、おまえの着地はどこなのだろう


蝉がちりちりと鳴いている

曇天に夕方の縞模様ができている

ヘリの音がする

電線がうごかない

縞模様もうごかない

ヘリの音が遠ざかる

遠ざかれば遠ざかるほど

それはヘリらしい音になる

鳴きやむ蝉がいれば鳴きだす蝉がいる

だらんと世界は歳をかさねてゆく

執拗にがまん強く

なんにも変わらないふりをして

時よ、おまえの威力は甚大だ

水どころの話じゃない

積水どころの話じゃない

宮本武蔵どころの話じゃない

時よ、おまえには逆らえない

小船にのって流されるしかないのだよ













自由詩 時よ Copyright 吉岡ペペロ 2014-08-17 18:51:21
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