田園



死を垣間見る
生に敏感になる





ぼん

わたしのいぬはしんだんです
あいしていたんですほんとうです
なのにあのこはにゅうがんで
ひとすじにょうをこぼしてしにました
ごみすてばでもやしました
かのじょはいたいじゃなくしがいとあつかわれましたたしかにそうたしかにそう
あのなまぬるいえみはわすれられないけれどもしかたなかったあのひともまたしごとだったのだから
にんげん
にんげん



帰ってくるかい
ご飯もおやつも用意しているよ
そういえば爺さん
いつも角砂糖一つくれて
小さい私と弟をたいへんもぞがってくれた爺さんも帰ってくるか
爺さん
いまだにあなたの写真を持っている
たまに郷愁にかられて泣く
あなたの職場は廃校になったよ

心に残るが消えるもの
二部屋向こうでテレビ見て
げらげら笑う母親も
必ず
私より先に逝くのだ
分かっているのか


おそらく分かっていない
恐れているから分かっていない

けれどその理解が非常に近くなる日


少しづつ老いていく私と私の周り
周回する達観
そして
また狼狽する次の秋

だが今はまだ


自由詩Copyright 田園 2014-08-16 21:20:04
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