ユニフォーム
葉leaf




同じ服装をしたサラリーマンたちの服の内側には
めいめい異なった種類の絵画が掲げられている
自分の絵を見せたくて見せたくて
それでも同時に会社の利益のために欲望を抑えるから
せめて外見だけを同じくして服装を犠牲に捧げている
本当はすべてにおいて異なっていたいから
服装や職場での態度だけ供犠に捧げて
内側ではみんな個性的な絵画を描いていくのだ

スーツという薄っぺらい社会
こんなに汚れやすくてこんなに軽い社会
それを皮膚のすぐ上にまとってサラリーマンは仕事をする
社会は遠くにあるのではなく皮膚のすぐ上に
軽やかにのびやかに圧倒的な壁のように広がっている
家に帰って社会を脱ぎ捨て洗濯する
それでも皮膚にはもう社会が刷り込まれているようで

社会と個人を滑らかに結び付けるスーツ
個人の夜と社会の昼は決して交わらない
それらを強引に結び付けるスーツ
そこには矛盾に引き裂かれたサラリーマンの
決意と情熱と悲しみとしたたかさが
辺りの空気を湿った感傷で傷つけていく





自由詩 ユニフォーム Copyright 葉leaf 2014-08-16 07:24:53
notebook Home 戻る