お別れ
nemaru

はじめて見たとき、
歩き方にピンときて。

お互い隠してはいたけれど、
やっぱり同じところが錆びていて。

嬉しくなって、
同じぐらい雨風にさらされて(笑)
同じぐらい錆びついて(笑)
油なんか、一回も差されたことないやー(笑)って。

毎晩、錆び具合を確かめ合ったりするようになって。

出かける前には、
ひとつしかないゼンマイねじを
代わりばんこで背中に挿して、
壊れそうな音がするまで
めいっぱい回して。
目の奥がジンジンした。

満タンになった君は、軋みながら自転車に乗って、
色んな所に行こうとした。
僕も軋みながら、その後をついて回った。

僕らは邪魔にならないように、
ちゃんと左車線の路側帯を走った。

君に話しかけると
並ぼうとするから、
変に黙って走る癖がついて。

君の背中の穴をよく見るようになって。

僕にもあるんだなーって。

それから少しずつ、
悲しい事を考えるようになった。

ごめんね、


自由詩 お別れ Copyright nemaru 2014-08-16 02:23:01
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