隻影を落として
信天翁

丘に控えた公団住宅を取り巻く
 風は脈を沈めていた
  光は息を殺していた
盆踊りのやぐらを無視するように

   七階の窓からは
敷き布団を叩く音が重たげに─
   四階の窓からは
着布団をはたく音が軽やかに─

それぞれ こだましていた
穏やかな暮しの紡ぎ音のように


自由詩 隻影を落として Copyright 信天翁 2014-08-15 20:30:51
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