焼跡
梓ゆい

朝が訪れた廃墟の中で

瓦の絨毯を壊しながら

黒い土を掘り返した。

奥の押入れに眠ったまま

半分焼け落ちた赤表紙のアルバムでは

今しがた息を引き取った姉ちゃんが

飴玉をほおばりながら

笑っている。

遠くの煙を仰ぎ

父が手渡した金平糖は

寂しい味がした・・・・。



自由詩 焼跡 Copyright 梓ゆい 2014-08-15 08:07:20
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